俺の妹、かなこには彼氏がいる。
どうもヲタク仲間らしいのだが、かなこと同じくヲタクには見えない好青年。
悟朗ちゃん。
偶然にも俺の大学の一回生であったこともあり、かなこがいない時にも時々やってきて、いろいろなネタで話し込む仲だ。
確かにヲタクだが、話題も豊富で最近は演劇にはまりアマチュア劇団に入団までしてしまうという行動派でもある。
おとといである。
朝のうちにコンタから夜の訪問を告げられなんとなく浮き足立っていた俺、レンジに災難は雨あられとふりそそいだ。
こんにちわぁ。
夕方である。
部屋で卒論の資料をまとめていた俺のところまで声はきこえた。
ああ、悟朗ちゃんだ。
こんにちわぁ。
あれ?誰もいねぇの?
俺は部屋を出て階段を半分まで降りると玄関を覗き込んだ。
子犬みたいなひとなつっこい笑顔で悟朗ちゃんが俺をみあげていた。
「あ、れんさん。かなこは・・・」
「え・・どうやろ?まぁあがれや」
あがってすぐにかなこの部屋を覗いた悟朗ちゃんは心なしかしょんぼりした様子で俺の部屋にやってきた。
「かなこおらんの」
「はぁ・・・おかしいなぁ、行くゆぅてたのに・・・まぁええですわ。れんさんいてるし」
「なんやそれ(笑)」
「えへへ、オレれんさんスキですもん♪」
こいつが言うとなんか自然すぎてスルーできるセリフ。
確かに悟朗ちゃんはずいぶん俺になついてくれている。
「卒論ですか」
「そぅそ。」
「だって卒論って1月提出でしょ?」
「資料が膨大やねん。資料の選別だけでも10月ぐらいまでかかるんちゃうか」
「あぁぁそっか、れんさん法学部ですもんね」
ぁぁぁぁ文学部は気楽でいいなぁ。(文学部スマン。)
30分ほど大学の話、劇団の話で盛り上がったが、かなこが帰宅する様子はない。
「かなこ遅いな・・・メールしてみたか?」
「はぁ・・・まぁ・・・」
「なんや、歯切れわるいのぅ」
「実は今日は」
クッションをだきかかえるように胡坐をかいていた悟朗ちゃんが急に立ち上がった。
「?」
「れんさんに会いにきたんです。」
「は?なんで?」
「オレ、れんさんスキなんです。」
だからわかってるって。
ぇぇ?
「スキ?」
「はい!スキです!」
爽やかすぎる。
そして悟朗ちゃんはデスクの椅子に座る俺に抱きついてきた。
悟朗ちゃんはでかい。
コンタよりでかい。
「ぉぃ・・・・」
俺の耳元に悟朗ちゃんの声が囁く。
「スキなんです、れんさん、オレ・・・・」
混乱。
眩暈。
ありえねぇ・・・・
「かなこは・・・お前彼氏やん」
「初めはかなこがすきやったんです、でも、でも・・・・」
「いや、ほら、俺も相手おるからさ・・・・」
混乱して何を言っているのかわからない。
「彼女がいててもいいんです、オレを彼氏にしてください」
そんなのアカンよ悟朗ちゃん。
二番目なんてココロがからっぽになるばっかり。
相手をスキになればなるほど悲しくなるばっかり。
「彼氏ならおらんでしょ、だから」
「俺、彼氏おるよ・・・」
俺は小声で抵抗した。
これでひいてくれるかな。
悟朗ちゃんが俺の耳元ではっと小さく息を飲むのと
パシャ
と部屋にフラッシュがたかれるのは同時だった。
「きゃぁぁぁああああああ♪ステキすぎぃぃぃぃぃぃ♪」
かなこがドアから嬌声をあげながらとびだしてきた。
「ゴロちゃん、よくやりましたぁぁぁ♪」
かなこの手には。
デジカメ。
え?
え?
「悟朗ちゃん・・・?」
「あの、すみません、かなこに頼まれて、あの、レンジさんと抱き合ってる写真が撮りたいって・・・・・」
「・・・・かなこ・・・・?」
「よくとれてるよぉ。めっちゃ萌えやったわぁぁぁぁぁっ」
ハメられた。
やられた。
俺はしてしない脱力感にベッドに倒れこんだ。
シャレになんねぇぞ、かなこ。
「ゴメンネ、お兄ちゃん♪」
にこっとかなこが笑う。
全然あやまってねぇ。
「今度モスバーガーおごるね」
「いらんわ!」
「すみません、れんさん・・・・」
あぁぁ。
悟朗ちゃん。
そんなすまなさそうな顔すんな。
「もぉ・・・ええよ」
「ほんまにごめんなさい・・・」
どうせお人よしの悟朗ちゃんのことやから、かなこに強引に頼まれたんやろぅ。
かなこはそんな俺たちにまったくかまわず、ねねね、早くプリントしてみよーよ、と騒ぎながら自室に戻っていく。
かなこ。
お前は最強だ。
「あの、れんさん・・・」
「なんや、まだなんかするんか」←ヤケクソ。
「さっきの・・・・」
んん?
「あの、彼氏おるって・・・・」
(;゜ロ゜)ハッ
大失言?!
「まじですか?」
「いや、ウソや」
「でもめっちゃホンマっぽかったし!」
「ウソやってば・・・・咄嗟に出たんやて!」
「はぁ・・・まぁ俺は別にれんさんに彼氏がいててもびっくりしませんけど。」
そしてまたにっこり。
どういう意味やねん。
「かなこには黙っときますねー」
ウソやってば!
ドアを閉めながらあはは、と笑って悟朗ちゃんは言った。
「正直なんかちょっと変な気分になりそーでしたけど♪」
うぅぅぅぅぅ。
俺まじであせったのに。
かなこのアホ。
悟朗ちゃんのアホ。
コンタにいいつけてやるからな(ナニッ
悟朗ちゃんの口の堅さを祈るばかりの俺なのでした。
どうもヲタク仲間らしいのだが、かなこと同じくヲタクには見えない好青年。
悟朗ちゃん。
偶然にも俺の大学の一回生であったこともあり、かなこがいない時にも時々やってきて、いろいろなネタで話し込む仲だ。
確かにヲタクだが、話題も豊富で最近は演劇にはまりアマチュア劇団に入団までしてしまうという行動派でもある。
おとといである。
朝のうちにコンタから夜の訪問を告げられなんとなく浮き足立っていた俺、レンジに災難は雨あられとふりそそいだ。
こんにちわぁ。
夕方である。
部屋で卒論の資料をまとめていた俺のところまで声はきこえた。
ああ、悟朗ちゃんだ。
こんにちわぁ。
あれ?誰もいねぇの?
俺は部屋を出て階段を半分まで降りると玄関を覗き込んだ。
子犬みたいなひとなつっこい笑顔で悟朗ちゃんが俺をみあげていた。
「あ、れんさん。かなこは・・・」
「え・・どうやろ?まぁあがれや」
あがってすぐにかなこの部屋を覗いた悟朗ちゃんは心なしかしょんぼりした様子で俺の部屋にやってきた。
「かなこおらんの」
「はぁ・・・おかしいなぁ、行くゆぅてたのに・・・まぁええですわ。れんさんいてるし」
「なんやそれ(笑)」
「えへへ、オレれんさんスキですもん♪」
こいつが言うとなんか自然すぎてスルーできるセリフ。
確かに悟朗ちゃんはずいぶん俺になついてくれている。
「卒論ですか」
「そぅそ。」
「だって卒論って1月提出でしょ?」
「資料が膨大やねん。資料の選別だけでも10月ぐらいまでかかるんちゃうか」
「あぁぁそっか、れんさん法学部ですもんね」
ぁぁぁぁ文学部は気楽でいいなぁ。(文学部スマン。)
30分ほど大学の話、劇団の話で盛り上がったが、かなこが帰宅する様子はない。
「かなこ遅いな・・・メールしてみたか?」
「はぁ・・・まぁ・・・」
「なんや、歯切れわるいのぅ」
「実は今日は」
クッションをだきかかえるように胡坐をかいていた悟朗ちゃんが急に立ち上がった。
「?」
「れんさんに会いにきたんです。」
「は?なんで?」
「オレ、れんさんスキなんです。」
だからわかってるって。
ぇぇ?
「スキ?」
「はい!スキです!」
爽やかすぎる。
そして悟朗ちゃんはデスクの椅子に座る俺に抱きついてきた。
悟朗ちゃんはでかい。
コンタよりでかい。
「ぉぃ・・・・」
俺の耳元に悟朗ちゃんの声が囁く。
「スキなんです、れんさん、オレ・・・・」
混乱。
眩暈。
ありえねぇ・・・・
「かなこは・・・お前彼氏やん」
「初めはかなこがすきやったんです、でも、でも・・・・」
「いや、ほら、俺も相手おるからさ・・・・」
混乱して何を言っているのかわからない。
「彼女がいててもいいんです、オレを彼氏にしてください」
そんなのアカンよ悟朗ちゃん。
二番目なんてココロがからっぽになるばっかり。
相手をスキになればなるほど悲しくなるばっかり。
「彼氏ならおらんでしょ、だから」
「俺、彼氏おるよ・・・」
俺は小声で抵抗した。
これでひいてくれるかな。
悟朗ちゃんが俺の耳元ではっと小さく息を飲むのと
パシャ
と部屋にフラッシュがたかれるのは同時だった。
「きゃぁぁぁああああああ♪ステキすぎぃぃぃぃぃぃ♪」
かなこがドアから嬌声をあげながらとびだしてきた。
「ゴロちゃん、よくやりましたぁぁぁ♪」
かなこの手には。
デジカメ。
え?
え?
「悟朗ちゃん・・・?」
「あの、すみません、かなこに頼まれて、あの、レンジさんと抱き合ってる写真が撮りたいって・・・・・」
「・・・・かなこ・・・・?」
「よくとれてるよぉ。めっちゃ萌えやったわぁぁぁぁぁっ」
ハメられた。
やられた。
俺はしてしない脱力感にベッドに倒れこんだ。
シャレになんねぇぞ、かなこ。
「ゴメンネ、お兄ちゃん♪」
にこっとかなこが笑う。
全然あやまってねぇ。
「今度モスバーガーおごるね」
「いらんわ!」
「すみません、れんさん・・・・」
あぁぁ。
悟朗ちゃん。
そんなすまなさそうな顔すんな。
「もぉ・・・ええよ」
「ほんまにごめんなさい・・・」
どうせお人よしの悟朗ちゃんのことやから、かなこに強引に頼まれたんやろぅ。
かなこはそんな俺たちにまったくかまわず、ねねね、早くプリントしてみよーよ、と騒ぎながら自室に戻っていく。
かなこ。
お前は最強だ。
「あの、れんさん・・・」
「なんや、まだなんかするんか」←ヤケクソ。
「さっきの・・・・」
んん?
「あの、彼氏おるって・・・・」
(;゜ロ゜)ハッ
大失言?!
「まじですか?」
「いや、ウソや」
「でもめっちゃホンマっぽかったし!」
「ウソやってば・・・・咄嗟に出たんやて!」
「はぁ・・・まぁ俺は別にれんさんに彼氏がいててもびっくりしませんけど。」
そしてまたにっこり。
どういう意味やねん。
「かなこには黙っときますねー」
ウソやってば!
ドアを閉めながらあはは、と笑って悟朗ちゃんは言った。
「正直なんかちょっと変な気分になりそーでしたけど♪」
うぅぅぅぅぅ。
俺まじであせったのに。
かなこのアホ。
悟朗ちゃんのアホ。
コンタにいいつけてやるからな(ナニッ
悟朗ちゃんの口の堅さを祈るばかりの俺なのでした。
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