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自分の中の両極を、自分の中のけだものを。 制御し飼い馴らす方法を探す旅。
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俺の脳内麻薬。
久しぶりの大学。

学部掲示板の前でいつもの連中がたむろっていて

「おぅ」と声をかけるやいなや

マサハルがエライことなっとるで、

と皆が口々に言う。



先に来ていたコンタも当惑した顔や。



「なんやねんな」

「捕まってしもたてよ。」





マサハルは遊び好きでノリのいいやつだ。好奇心旺盛でムードメイカー、飲み会には欠かせない男。ただしいつも彼女募集中。

ソツがなく小器用で、授業に出ていないワリに成績はよかった。

ただ悪ノリが過ぎるきらいはあった。

タイガースファンでもないくせに阪神優勝の夜、道頓堀ダイビングに参加し警察に反省文をかかされ、2週間下痢に苦しんだというエピソードが物語る。





心斎橋のクラブで警察につれて行かれたらしい。



「クスリやってたんやて・・・・・」



ユリが泣きそうな顔で言った。





雰囲気に流されやすいマサハルらしかった。







ぶっちゃけ仲間うちの中には興味半分でやってみたヤツもいる。いることはいるが、幸い話のネタ程度でおさまっている。

常習していたらしいマサハルは冗談ではすまなかったようだ。

中毒になるのに時間はかからない。

ときどき下宿にやってきては俺たちを捕まえて「バカたれやけどよろしゅうしたって」といつも同じ言葉を繰り返す三重県の親父さんの顔が目に浮かんだ。



「アホや・・・・・」



ヒュウガが言ってため息をついた。



















なんとなく落ち込んだ空気のままのコンタとの帰り道、駅のトイレの洗面所でコンタが真剣な顔で聞いた。

「お前は大丈夫やんな?」

「しょうもないこと聞くな」

笑ってかえす。



しょうもないこときくな。

クスリは俺の頭の中。

そのアンプルを割るのはいつだってお前とのキス。

他のことに溺れる余裕はない。





スーパーの喫煙スペースで

マサハルになんとか会う方法をコンタと話しあいながら

俺は

脳内の麻薬に思いをはせていた。





もう手遅れ。

俺も常習者。





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