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自分の中の両極を、自分の中のけだものを。 制御し飼い馴らす方法を探す旅。
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救世主。
ども。

レンジです。

体力の減退をひしひしと感じて毎日ジョギングしているこのごろです。

今日はいつもすれ違うヒトに声をかけられました。

「おはよう」(なぜかタメ口。)

「・・・・おはようございます。」(明らかに年上だったので)

「毎日来てるねぇ。えらいえらい」(カチーン。)

「はぁ・・・・」

「大学生?」

「・・・はい」

「そう。じゃあね」





なんですか、アナタ(笑)

年のころ30前後、颯爽と走り去る後ろ姿。

キモい系じゃないから余計に怖い。



爽やかな朝がだいなしです。

どうしてくれるんですか。











木曜はチェロのレッスンだった。

前回ちらりとブログで俺がチェロをやっていることを書いたらみんなびっくりしていたので俺って芸術とはほど遠いと思われてんやなぁ、と軽くショックを受けてみたり。

チェロを始めたのは19の秋。

そぅ、例のバイク事故の直後。

リハビリもうまくいってなくて、俺もちょっと精神的に参ってた。

セックスとかだけでは消化しきれないものは確実にある。

ペシミストなわりに楽観主義の俺にすら、絶望の後ろ姿は見えていた。

日々葛藤していたと思う。

前のようには動かなくなるかもしれない足。

通えない大学、受けられない試験、失われたハーレー。

これまで普通に与えられていた日常が急に剥ぎ取られた不安が俺をいらいらさせていた。



リハビリのあとのクールダウンの為の部屋はいつも静かに音楽が流れ、アロマの香が漂う薄暗い部屋だ。

めずらしく誰もいなかった。

俺はいらいらとささくれ、ぎすぎすと尖った気持ちをもてあましながら5台のベッドのうちの1つに腹ばいに横たわって療法士を待った。

足が太ももの付け根から抜けてしまいそうなほどだるかった。

膝の可動域が狭くてうまく曲がらない。

何かを壊したかった。

それは自分だったかもしれない。

俺は敷かれたタオルケットに顔を強くこすりつけて衝動を逃がした。

いつものラベンダー香。

そして。

「・・・・?」

いつもならエンヤか、アディエマスか、セイクリッドスピリットとかが流れているはずなのに、その日は趣きが違った。

めまぐるしく入れ替わる静と動。

深く沈む低音と、穏やかで滑らかな音階、豊かな広がりをもつメロディ。

聞いたことのあるメロディなのに、初めて耳にしたような。



乾いた土に水がしみこむように。



現れた療法士が俺の涙に驚いて、痛みがあるのかと聞いた。

答えない俺にマッサージを施しながらカウンセリングを薦める療法士を無視して

俺はその音楽に溺れた。



部屋をでがけにかかっていたCDを貸してくれるよう頼んでみた。

彼は二つ返事でCDを用意した。

「俺の私物だから。よかったらあげるよ」





J・S・バッハ/無伴奏チェロ組曲。

ヤーノシュ・シュタルケル。





退院後、まだ不自由な足をひきずって今の先生を訪ねた。

いきあたりばったりだったがいい先生だった。

大阪フィルのチェリストで、いくつか教室をかけもちし、なおかつ大学でも教鞭をとる多忙な先生ながら喜んで俺を受け入れてくれた。

どうしてチェロを始めようと思ったの、と彼が聞いた。

「チェロに救われたので」

そう答えると彼は笑った。

「永いおつきあいになりそうですねぇ。」





その日のうちに楽器工房でチェロを買った。

入院で散財していた俺が買ったのは工房の中でも一番安価なもの。

確か弓込みで65万程度。

先生が買ったばかりの俺のチェロをひいて、おお、と声をあげた。

「いい買い物しましたねぇ」

「一番安いやつですよ」

「いい出来じゃないですか。当たりの楽器、というやつです。」



演奏会に出たときにそれが分かった。

アンサンブルで知り合った友人が

「おまえのチェロ、ホールで弾くとごっつ響くなぁ」

と笑っていた。





月に多くて2回。

家で練習?

週に3回すればいいほう(笑)





だってね

俺にとってチェロの響きは精神安定剤。







あの時あのタイミングでチェロに出会わなければ

俺の人生はもう少し変わっていたはずだ。



チェロを抱きかかえるたび、そう思う。





















またもエロなし。

性欲の秋目前。

いましばらく待たれよ。




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