後始末が終わって全裸のままベッドでうだうだしているとコンタが俺の股間をじーっと見ている。
くわえ煙草で、通常サイズに戻った俺のチンコを凝視。
やめろ、恥ずかしい。
でかくなった状態ならまだしも、このサイズで凝視されるのはかなり恥ずかしいんやぞ。
だいたいコンタの視線が全然エロくない。
どうせなら視姦するぐらいのイキオイがいいんだけど。
むしろ見るならそこまでしてみろ的な？
「なんやねん・・・・」
「いや・・・・・」
言葉尻を濁して、それでもコンタは瞬きもせずに俺の股間を観察し続けていた。
俺は気が長いほうではない。
「何やねん！」
コンタがようやく顔をあげて俺を見た。
そして煙草をもみ消してこのうえなく真剣なまなざしで言った。


「な、れん。この毛、剃ってみぃひん？」



な、なんですと。
俺は耳を疑ったが確かにコンタはそういった。
「・・・・剃毛プレイかよ」
「そない言うのん？」
「普通は奴隷が剃るもんやで」
「えー、じゃ俺ー？」

ってオイ。
俺Ｓモードでお前責めるけど、確かにそういう扱いはするけど。
おまえは奴隷じゃねーぞ。
「おまえ奴隷ちゃうやろ」
「いや、俺でもええんやけどさ。どっちかっていうとお前の方が肌綺麗やから似合うかなー、って・・・」
「俺はイヤやぞ。剃刀負けするもん」
俺が体を起こして煙草に火をつけるとコンタがにやりと笑った。
「って・・・・なんか経験ありそうやな」
「させたことあるけどしたことはない」
「おお！さすがれん！」
なんじゃそら。
何がさすがやねん。
「何で急に・・・・」
と言いかけて、ああ、と思い当たった。
あの金髪アナル女優。
綺麗に陰毛がなかった。
もとからないのか剃ってあるのかは不明だが。
確かにさ。
確かに剃るとまたたまんない魅力があるわけだけど。
いろんなリスクもある。
肌も荒れるし、いつもつるつるぴかぴかってわけにはいかないし。
特におまえなんか出張もつきあいも多いわけだしさ。いつどんなシチュエーションで脱ぐかわからない。
・・・と諭すとコンタがうーん、と唸って新しい煙草に火をつけた。
「そっかー・・・・駄目かぁ・・・」
そのがっかり加減が妙に哀れだったり。
「なんでそんなに剃りたいん」
「んー、毛がなくなったらもっと舐めまくれるかなって・・視覚的にもなんか妙にエロげじゃない？」


コココココンタ。
おまえ結構変態だね・・・・（汗）
まぁ俺につきあえてるだけでも十分に変態だとは思ってたけど。
でもそれを想像して『確かにエロ気持ちエエかも』とか思ってしまった俺ははるかにヤバい人種だけどね。


「なー、やっぱ駄目？一回だけでも」
「・・・・考えとく」
なんだその満面の笑み。
俺は溜息した。
コンタの発言に呆れたわけではない。

答えは保留にしたが、次にコンタに押されれば多分俺はええで、って言ってしまうだろう。
俺の中で剃毛って、操だてみたいな意味がある。
あなた以外の前でこんな部分を晒すことはありません。
だから何をされても恥ずかしくありません。
陰部を隠すものを剥ぎ取ってしまうことですべてを委ねる絶対的服従心。

俺はコンタの奴隷ではなく、同じようにコンタは俺の奴隷ではない。
立場は受け攻めの割合やＳとＭの度合いに関わらずいつも対等だ。
けれど
陰毛をすべて剃り落とすということで本当に、こいつ以外の前で体を晒さない証明になるのなら
そしてそれでコンタが
俺をもっと欲するようになるなら。
安い代償だ。





あがいて好きだと言って。
もっと好きになってって言って。
絶対離れるなって言って。
ダイレクトに伝えれば簡単だけどそういうのは俺の性にあわない。

でもコンタが気がつけば何か見えないもので絡め取られてうごけないほど俺に夢中になっていてほしい。


そんな俺の密かな欲望に自身、溜息が漏れたのだ。


気がつけばコンタが俺の手を握っていた。
掌の熱さ。



俺たちは多分、お互いに密かな欲望を抱えている。
夜の淵で煙草の煙にまかれながらそんなことを思った。