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自分の中の両極を、自分の中のけだものを。 制御し飼い馴らす方法を探す旅。
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どこから浮気?
俺的にはセックスなんだけどね。

浮気の境界線。

飲み会の余興でキスなんて普通にあるし。



ココロが揺れたらフィジカルなつながりがなくてもその時点で浮気な気がするしね。

逆にセックスしてもココロが揺るがなければ浮気じゃない気も。

最終的には裏切りの感じ方には個人差があるんだとは認識してますが。

裏切った時、罪悪感があればまだ浮気。

罪悪感がなければその時点で本気。

ううーん、表現が難しい。



まぁそういうわけで





昨晩。

一人暮らしのゲンゴさんのマンションに連れ込まれ深酒。

飲んだ飲んだ。

ゲンゴさんのキス魔は相変わらず。

遠距離の彼女の不在を嘆きつつ、2時すぎにはワイルドターキーが1本とビール500ml缶12本(6リットル!)があいた。

俺の恋愛話を聞きたがる彼の話をのらりくらりとかわしながら(つきあい浅いし、ちょっとディープでしょ、さすがに。)アーリータイムスを空けた時

「なぁなぁ、あのキスしてぇや、れんじくん、ほらこの前のでぃーぷきす」←へべれけ。

「・・・何ゆぅてんですか」

「あははぁ、先輩命令ー。ホラホラ、ホラホラ」

ゲンゴさんがけたけた笑いながら女の子みたいに腕を首に回してきた。

んーんー。

これってどうなのよ。

そりゃ俺はバイだけど、ゲンゴさんはかわいい系だけど。

「ほらほらー目つぶって、女の子だと思ってさー」

うぬぅ。それはゲンゴさん、危険な思想です(汗)

「男同士やからえぇやんねー」

いやいや先輩。俺はすで男も女も射程距離な人種なんで・・・

とはいえるはずもなく。

俺はゲンゴさんの背中に腕を回して少々乱暴に抱き寄せてキスをした。

ゲンゴさんは体も小さいが歯も小さいんやな、と舌でたぐりながら考えていた。

舌で感じるバーボンの味はもぅ俺のものなのか、ゲンゴさんの舌の味なのかわからなかった。

コンタとするキスとはまったく違う。

コンタのおおぶりな歯列と大胆で獰猛な舌とは。

前回は何の反応も示さなかった(びっくりしてたせいもあるんやろけど)ゲンゴさんが、今日は深く吸いつくように俺の舌をたぐっている。

やっぱりキスは好きな人とでないとダメだ。

コンタとのキスで簡単に勃起する俺のチンコは完全に沈黙。

頭も冴え冴えとして冷静にゲンゴさんを観察してしまう。

閉じたゲンゴさんの睫毛がすげぇ長い。

酒がすすむと何故か鼻がつまるゲンゴさんは時折苦しげに口で息つぎをしている。

細くて小さい体はともすればイジメの対象になりそうな。

そのときゲンゴさんが唇をはなして、もぉ、と言った。

頬骨のところが紅潮している。

かはは、と何もなかったかのように笑いながらゲンゴさんは言った

「もぉぉ、なんで目開けてるねん」

「ゲンゴさん睫毛、ごっつ長いっスね」

「そんなん見んでえぇわぃ」

そしてまたかはは、と笑って封をあけたばかりのアーリータイムスの瓶に口をつけてぐぐ、と飲んだ。

「チンコ勃ってもぅたー♪」

ヘンなフシ回しの歌を歌って、ゲンゴさんは、かはは、と笑った。

俺もつられて笑った。

しばらく俺たちの笑いは止まらなかった。







・・・・というわけで



これは浮気ではありません。

でもコンタには内緒にしとこぅ。



ロンリーアルバート。
ども。

朝まで飲んでました。ちょっと飲みすぎレンジです。

っつかまだ酔っ払いです。

ダメダメ大学生です。

さっき急に発情してしまったダメダメ人間です。

コンタに電話して「セックスしよー」と言ったら

「おまえの酒が抜けてからな」と返されました。

ふんふん。

いいもんいいもん。

オナニーしちゃうもん。





さてさて俺がどうしてこんなに深酒してしまったかというと

友人の涙が酒の肴になってしまったからである。

この前1年ぶりにばったりツタヤで再会した友人、アルバート。

アメリカ国籍。

真実の意味でのアメリカ人。

彼はナバホ族の血をひくネイティブアメリカンなのだ。

彼とは18の時に知り合った。

俺の初タトゥー(最後になるかもしれないが)のデザインの原案をてがけた男である。

彫り師ではない。

本職?

さあ。

実はよくわからない(笑)







たぶん30代なかば。来日して10年以上たつというのに日本語はカタコト。

嫁さんが日本人で子供が二人。

元気か、ときくと、そうでもない、という。

何かあったの?ときくと嫁さんが出て行った、といった。

ああ。

そうだろうなぁ。そりゃ出て行くだろうなぁ。

オンナ癖は悪いし、金銭感覚はルーズ。

究極の刹那主義、というか「その日暮らし体質。」

宵越しの金はもたねぇ、ってオィ。

江戸ッ子かよ。

おまけに虚言癖がある。

インディアン嘘つきまくり、である。

溺愛していた子供まで連れて出ていったらしくかなり落ち込んでいる様子に、

また飲みにいこうよ、と声をかけてケイタイ番号を交換して別れたが

昨晩8時ごろ電話があって、飲みにこいよ、と誘われた。

というか

頼むから来てくれ、とせがまれた。





彼との会話は英語7割日本語3割。

ただし酔うと英語10割。

アルバートはビールを果てしなく飲み干しながら、

時々聞き取れない英語で、独り言のように

嫁さんと子供を恋しがり

自分の所業を悔い

ネイティブアメリカンの誇りを語り

その生きづらさを訴えながら

一晩中泣き続けていた。





これが飲まずにやってられっか(笑)





英語塾の講師をするんだ、と眠り際に彼は言っていた。

そしてちゃんと収入を得るようになったら嫁さんと子供を迎えにいくんだ、と。





好きなことだけじゃ生きられない。

誇りだけでも養えない。





現実はどこの国にいてもつきまとう。

それが真実。



こんな酒は辛いばっかりだ。もう真っ平ごめんなはずなのに

ついつい

またいつでも電話してこいよ、と安請け合いな俺。

お人よしな俺のことばに、うなづきながらまたアルバートは泣いた。







一応アルバートには「ジゴウジトク」ということわざの意味を教えておきましたが。



うう。

頭イタイ。

帰ってきてから部屋で飲みなおしたからかな。

自業自得ですな。







オナニーして寝ます。



救世主。
ども。

レンジです。

体力の減退をひしひしと感じて毎日ジョギングしているこのごろです。

今日はいつもすれ違うヒトに声をかけられました。

「おはよう」(なぜかタメ口。)

「・・・・おはようございます。」(明らかに年上だったので)

「毎日来てるねぇ。えらいえらい」(カチーン。)

「はぁ・・・・」

「大学生?」

「・・・はい」

「そう。じゃあね」





なんですか、アナタ(笑)

年のころ30前後、颯爽と走り去る後ろ姿。

キモい系じゃないから余計に怖い。



爽やかな朝がだいなしです。

どうしてくれるんですか。











木曜はチェロのレッスンだった。

前回ちらりとブログで俺がチェロをやっていることを書いたらみんなびっくりしていたので俺って芸術とはほど遠いと思われてんやなぁ、と軽くショックを受けてみたり。

チェロを始めたのは19の秋。

そぅ、例のバイク事故の直後。

リハビリもうまくいってなくて、俺もちょっと精神的に参ってた。

セックスとかだけでは消化しきれないものは確実にある。

ペシミストなわりに楽観主義の俺にすら、絶望の後ろ姿は見えていた。

日々葛藤していたと思う。

前のようには動かなくなるかもしれない足。

通えない大学、受けられない試験、失われたハーレー。

これまで普通に与えられていた日常が急に剥ぎ取られた不安が俺をいらいらさせていた。



リハビリのあとのクールダウンの為の部屋はいつも静かに音楽が流れ、アロマの香が漂う薄暗い部屋だ。

めずらしく誰もいなかった。

俺はいらいらとささくれ、ぎすぎすと尖った気持ちをもてあましながら5台のベッドのうちの1つに腹ばいに横たわって療法士を待った。

足が太ももの付け根から抜けてしまいそうなほどだるかった。

膝の可動域が狭くてうまく曲がらない。

何かを壊したかった。

それは自分だったかもしれない。

俺は敷かれたタオルケットに顔を強くこすりつけて衝動を逃がした。

いつものラベンダー香。

そして。

「・・・・?」

いつもならエンヤか、アディエマスか、セイクリッドスピリットとかが流れているはずなのに、その日は趣きが違った。

めまぐるしく入れ替わる静と動。

深く沈む低音と、穏やかで滑らかな音階、豊かな広がりをもつメロディ。

聞いたことのあるメロディなのに、初めて耳にしたような。



乾いた土に水がしみこむように。



現れた療法士が俺の涙に驚いて、痛みがあるのかと聞いた。

答えない俺にマッサージを施しながらカウンセリングを薦める療法士を無視して

俺はその音楽に溺れた。



部屋をでがけにかかっていたCDを貸してくれるよう頼んでみた。

彼は二つ返事でCDを用意した。

「俺の私物だから。よかったらあげるよ」





J・S・バッハ/無伴奏チェロ組曲。

ヤーノシュ・シュタルケル。





退院後、まだ不自由な足をひきずって今の先生を訪ねた。

いきあたりばったりだったがいい先生だった。

大阪フィルのチェリストで、いくつか教室をかけもちし、なおかつ大学でも教鞭をとる多忙な先生ながら喜んで俺を受け入れてくれた。

どうしてチェロを始めようと思ったの、と彼が聞いた。

「チェロに救われたので」

そう答えると彼は笑った。

「永いおつきあいになりそうですねぇ。」





その日のうちに楽器工房でチェロを買った。

入院で散財していた俺が買ったのは工房の中でも一番安価なもの。

確か弓込みで65万程度。

先生が買ったばかりの俺のチェロをひいて、おお、と声をあげた。

「いい買い物しましたねぇ」

「一番安いやつですよ」

「いい出来じゃないですか。当たりの楽器、というやつです。」



演奏会に出たときにそれが分かった。

アンサンブルで知り合った友人が

「おまえのチェロ、ホールで弾くとごっつ響くなぁ」

と笑っていた。





月に多くて2回。

家で練習?

週に3回すればいいほう(笑)





だってね

俺にとってチェロの響きは精神安定剤。







あの時あのタイミングでチェロに出会わなければ

俺の人生はもう少し変わっていたはずだ。



チェロを抱きかかえるたび、そう思う。





















またもエロなし。

性欲の秋目前。

いましばらく待たれよ。




お騒がせ少年始末記
雨ですな。



4時間前。



バイトから帰ってきてまだ冴えた頭でハンゲを開いた俺。

ばばぬきフロアでまた話しかけてくるばか者。

朝の4時やで?

そう。



俺の伝言板を独りよがりな欲求で汚しまくり

お嬢様方にお叱りとからかいを受けながらも

全然懲りてない

通称「ハンゲ少年」である。



高校生の分際でこともあろうに俺とセックスしたいとまでぬかし、俺に口汚くののしられてもまったく意に介しない。

ここしばらくは相手にせず放置していたのだが、昨日は気がむいたのでチャットに応じた。





「やっと振り向いてくれたんですね」

「振り向いてねぇ(怒)いい加減ウザイからカキコとかやめろ」

「れんじさんが無視するからです」

「なんでいちいちお前のために自分の時間つかわなあかんねん」

「俺がれんじさん好きだからです」

「俺はお前のこと全然好きちゃうぞ」

「そんなのどうでもいいんです」



相変わらずの自己中ぶり。





そのときの俺の腹の中は真っ黒。

怒りとむかつきといらだたしさと。

そしてそれに付随して湧き上がる破壊衝動。

チャットでよかった。

目の前にいたら、顔がわからなくなるぐらい殴ってる。

この衝動。

どう押さえればいい?



俺はそいつに電話番号を聞いた。

簡単に、いやむしろ嬉嬉として番号を教える浅はかな高校生。

カレはこの後、泣くことになる。







































番号非通知で電話をかけた。

ワンコールもしないうちに電話はとられたが相手は何もいわない。

「おい」

「はい」

「よぉ。」

「・・・はぃ」

「なんやねん、いきなりテンション下げやがって」

「ほんまにれんじさんですか?」

「ああそうや。おまえがセックスさせろてゆぅてるレンジや」

「信じられへん・・・」

「お前なんていうの、名前」

「あ・・・俺、リョータです」

声が震えていた。

「リョータね。」

そんなに震えんなよ。

俺の中は残酷なもので満たされる。

いじめたくなるやん。

チャットの中では横柄で生意気で怒涛のごとく俺への感情をたたきつけてくるリョータがケイタイのむこうで呼吸すら震わせている。

電話の向こうで泣く女の子みたいや。

「せっかく電話したってんから何か言えや」

俺の声は自分でもゾッとするほど穏やかだ。

ココロの中はドス黒いものでいっぱいやのに。

「す・・すみません・・・なんか緊張して・・・」

「深呼吸してみ、ちょっと落ち着け」

「れんじさんやさしいんですね・・・・それやし・・・声も・・・」

感嘆したようなリョータの声。

おまえは分かってない。

今の俺が優しいというなら、悪魔すら善人だ。

「リョータさ、なんで俺とセックスしたいの?」

「それは・・・」

リョータは口ごもる。

チャットや伝言板ではさんざん好きだと豪語しているくせにいざとなると口に出せない。

所詮こいつの性欲はバーチャルだ。

「俺の日記読んで、俺とセックスしたくなったんやろ?」

「・・・はい」

「もともと男が好きなん?」

「いえ・・・」

リョータの息遣いは荒い。

緊張と、いくばくかの興奮。

「俺の日記読んで、チンコでかくしてもぅたんや。」

「はい・・・なんかわけわからんくなってもて・・・」

「俺がコンタに突っ込まれてる思たら興奮するんや」

うう、とリョータが苦しげに呻いた。

「俺のケツに突っ込みたい・・・?」

「・・・・」

リョータの呼吸がまた乱れてく、と声がまじった。

「今チンコ触ってるやろ」

「・・・」

「ちゃんと返事せぇや」

「すみません・・・・でも・・・」

「でもやない。なんで勝手にチンコでかくしてんねん。おまけに勝手に触りやがって」

「すみません・・・」

声が泣きそうで、でもその呼吸にあえぎが混じる。

「俺に突っ込むとこ想像したんか」

「うん・・・」

「何がうん、やねん、ハイやろ!」

「はい・・・」

「俺フェラチオ上手なんやで・・・・?」

「ああ」

リョータが呻いた。

ちょろい。

ちょろすぎる。

「おいおいもぅチンコ触るなよ」

「そんなん無理です・・・・・っ」

「触んな」

ふぅぅぅ、とリョータが泣きそうな声を上げた。

「絶対触るなよ」

「れんじさん・・・・」

「失礼やろ、せっかく俺が電話したってるのに」

「でも・・・・」

「うるさい。ゆぅこときけんのやったらもぉ切るで。俺聞き分けのない子ォ嫌いやし」

「れんじさん・・・・・・っもぅ触らへんから、触らへんから、もっと声きかせてください・・」

「あはは。えぇ子やな。しゃぶってやりたいわ」

リップサービス。

リョータが喘いだ。

「今チンコどうなってんの?」

「え、あの・・・・」

「教えろや」

「もぉビンビンです」

「サイアクやな。俺がわざわざ電話したったのに」

「ごめんなさい・・・・っでも・・・・」

「もぉどうせガマン汁も出てるんやろ」

「はい・・」

リョータの声はずっと苦しそうだ。

ああ。

おもろいわぁ。

チャットなら高笑いしてるとこや。

喉元までこみ上げてくる笑いをなんとか抑えながら俺は続けた。

「俺の口の中でイきたい?」

「ぅぅ」

「それともアナルがイイ?」

リョータがケイタイの向こうですすり泣きだした。

「どしたん」

「れんじさん、チンコが、チンコが」

チンコがどうかしましたか?

「もぉがまんでけへん・・・っ」

「触るなよ」

「いややぁ」

「じゃ切るわ」

「いやや」

「ほな触るな」

「なんでこんなことするんですか」

17の少年がしゃくりあげながら俺を非難する。

「ひどいです・・・・」



あはは。

ふざけんな。



「お前がやってることも、こういうことなんやで。」







リョータの返事を待たずに俺は電話を切った。









独りよがりで相手のことを考えない。

自分の欲望だけを相手に押し付ける。

俺は幸いにも少しばかり精神的に図太く生まれついているし、ストーカーされた経験もあるから少々のことでは動じないが、お前ぐらいしつこく話しかけられたら普通の女の子なら精神的にしんどくなる。

伝言板だって俺が気がついた時にコメントがついてないやつは全部削除してる。

20じゃきかない。

十分迷惑。



もぅおまえの猶予期間は終わったんや。

消えろ。







というわけで







お騒がせしておりましたハンゲ少年リョータ。

一刀のもとに始末してございます。



俺の脳内麻薬。
久しぶりの大学。

学部掲示板の前でいつもの連中がたむろっていて

「おぅ」と声をかけるやいなや

マサハルがエライことなっとるで、

と皆が口々に言う。



先に来ていたコンタも当惑した顔や。



「なんやねんな」

「捕まってしもたてよ。」





マサハルは遊び好きでノリのいいやつだ。好奇心旺盛でムードメイカー、飲み会には欠かせない男。ただしいつも彼女募集中。

ソツがなく小器用で、授業に出ていないワリに成績はよかった。

ただ悪ノリが過ぎるきらいはあった。

タイガースファンでもないくせに阪神優勝の夜、道頓堀ダイビングに参加し警察に反省文をかかされ、2週間下痢に苦しんだというエピソードが物語る。





心斎橋のクラブで警察につれて行かれたらしい。



「クスリやってたんやて・・・・・」



ユリが泣きそうな顔で言った。





雰囲気に流されやすいマサハルらしかった。







ぶっちゃけ仲間うちの中には興味半分でやってみたヤツもいる。いることはいるが、幸い話のネタ程度でおさまっている。

常習していたらしいマサハルは冗談ではすまなかったようだ。

中毒になるのに時間はかからない。

ときどき下宿にやってきては俺たちを捕まえて「バカたれやけどよろしゅうしたって」といつも同じ言葉を繰り返す三重県の親父さんの顔が目に浮かんだ。



「アホや・・・・・」



ヒュウガが言ってため息をついた。



















なんとなく落ち込んだ空気のままのコンタとの帰り道、駅のトイレの洗面所でコンタが真剣な顔で聞いた。

「お前は大丈夫やんな?」

「しょうもないこと聞くな」

笑ってかえす。



しょうもないこときくな。

クスリは俺の頭の中。

そのアンプルを割るのはいつだってお前とのキス。

他のことに溺れる余裕はない。





スーパーの喫煙スペースで

マサハルになんとか会う方法をコンタと話しあいながら

俺は

脳内の麻薬に思いをはせていた。





もう手遅れ。

俺も常習者。





オカマは何でも知っている。
指先の肉を削がれるという惨事のためバイト先の厨房シフトから一時開放された俺のケイタイに、オーナーから電話があったのはおとといの深夜。

オーナー自らレジ閉めに行く予定だったのが、出先の名古屋から帰ってこれないらしく(飲みすぎで運転ができず滋賀で立ち往生中。)急遽レジ閉めだけに出勤することになった。

あの。

夜中の2時なんですけど。



ラストオーダーが終わったころをみはからってしぶしぶ店に入ると、いつものごとくアケボノのカン高い声がとんできた。

「うぉぉぉ。れんさんどないしたんですかぁ!」

「アホ。お客さんおってなんやろ。声でかいワ」

あと一組さんだけですよぉ、と言い訳するアケボノを制して事情を説明していると奥のテーブルからだみ声。

「あらぁぁぁぁぁぁ!れんちゃん!今日休みゆぅてたんちゃうのん!」



時々ラストオーダーぎりぎりにかけこんできてすごい勢いで豪快に飲み食いし、すばやく去っていく、ステキなお客様。

ゲイバーのおねぇさま方である。

俺に声をかけたのはママ。

総勢6人、いつものメンツである。

「こんばんわ、いらっしゃいませ」

笑ってテーブルに近づくと近くに座っていた「みなみ」さんが腕を組んでムチムチの胸を俺の肘にぐりぐりとおしつけて

「私らに会いに来てくれたぁん?」と冗談まじりにシナをつくる。

「指ツメたゆぅてきいたでぇ」

「いゃあ、また包帯痛々しいわぁ~」

「まぁ座り座り。包茎アケボノちゃん生1杯だけお願いィ」(名誉毀損。)

「なぁなぁオフのれんちゃん見るのはじめてちゃう?」

「そのシャツどこで買うたん?」

6人がわれがちに話かけてきて、もぉよくわからない。

「レジ閉めだけオーナーに頼まれたんですわ」

「あぁぁ絶対またあのセンスの悪いバカ女とシケこんでんねんわー」

「あぁぁああのマンコくさそうな女ねー」(ひどいいわれよう。ドンナ女だよ。)

おねぇさまがた、きゃあきゃあいいながら盛り上がる。

いや

レジ閉めたいんですけど。

「こんなことマァないわぁ、れんちゃん飲みぃ」

「今から銭勘定せなアカンし、手元狂ったらどないしますの」

「何ゆぅてんの、ビール一杯ぐらいで酔うかいなぁぁぁ」

それでもやっぱり他人の金である。

うっかり間違ったらシャレにならない。

丁重に何度も断るがオカマさんたちは明るく陽気でそしてしつこい。

「ほな今から飲みにいくから付き合いぃ」

「えぇぇぇぇぇぇ」

ママが万札のぎっちりつまったプラダのサイフをかばんから出してきた。

「れんちゃんほなオアイソして。さっ、みんなさっさと料理片付けてしもて。あっ、もちろん私のおごりやから心配せんでえぇから。」



売り上げを夜間金庫にあずけて戻ってきた俺を拉致したのは俺より背の高い「かりん」さん。

「さささささ。行こ行こぉ」

けらけら笑いながら「どうかご無事でぇ」と言ったアケボノがかりんさんに無理やりホッペタチュゥをされるのを見ながら店のドアを開けると

3人の刺客。

本当に俺、どうかご無事で。





2人帰って残ったのはママと

綺麗系「みなみ」さんと(そのへんのホステスのおねぇさんより綺麗。爆裂オパーイ。)

体育会系「かりん」さん(ショーではレイザーラモンのものまねをするらしいw)

バラエティー系「すず」さん(リリアンみたいなカンジ。)

オトメ系「ミサキ」ちゃん。(ちゃんで呼ばないとすぐ泣きまねをする。カバちゃんっぽ。)



両サイドを「みなみ」「かりん」に固められて3杯目の水割りを飲み終わるまで、

どこのエステがいいとか

髭はどうやったらきれいに剃れるかだとか

新しくできたブランドショップの噂だとか

新色リップの発色の良し悪しだとか

そんなつまんないはずの話が独特の切り口で展開され、不思議と退屈しなかった。

話題が先に帰った「ヒメ」さんの恋人の話になった。

ヒメさんは人気ナンバー1のおねぇさんで、ルックスのよさはほかの追随を許さない。

「どうも今の彼氏、妻子モチなんやて。おまけにノンケらしいわ。」

「えぇぇぇぇ。チンコつきオカマで不倫で相手ノンケなんて三重苦やないのぉぉぉ」

「でもノンケの男、虜にするやなんかさすがヒメちゃんちゃう?」

下品な笑い、嬌声。

わいわいと同僚の恋の噂話に花を咲かせる彼女たちに苦笑いを隠せないママと目があった。

「れんちゃんってさぁ」

「はい?」

「男知ってる顔してるね。」



場が一瞬がしん、となった。



でも凍りついたのは場じゃない。俺だ。

うわ、どうしよ。

動悸が激しくなってきた。

平常心。

平常心。

落ち着け俺。



「あははぁ、ママ何ゆぅてんのぉぉぉ」

笑ったのは「かりん」さん。続いて「ミサキ」ちゃんがそやわそやわ、と同意した。

「どんだけこの子が女の子泣かした噂聞いたと思てんの」(啼かすけど泣かしません。)

「女の子縛らなチンコ勃たへんて聞いたでぇ?」(縛りはめったにしないんですが。)

「あそこのバイト全員れんちゃん試食済みなんやろ?」(誰が食うか!怒。)

俺ってそんな噂たてられてんの・・・?(汗)

っつーか誰だよ、発信源!(冷汗)

「俺すげー鬼畜やないですか」

「ちゃうのん?」

「確かに鬼畜ですけど」

いやぁぁぁん、と妙に盛り上がるおねぇさまがたを尻目にママの眼光はなんとなく鋭い・・・気がする。

ママが彼女たちを無視してタバコをもみ消す。

「なんか前と雰囲気が明らかに違うん。」

「そうですかねぇ?そんなこともないと思うんですけど・・・」

「私の目は確かや。」

タバコをもみ消したママの手が俺の鼻をぐい、とつまんだ。

「いで」

ママはそのまま俺の顔を自分の顔に近づけ、俺にしか聞こえないような声で言った。

「男も女も両方味あわな、あんたみたいなフンイキはでぇへんねや。」

そしてえい、と俺の鼻を開放してつきとばし、バランスをくずした俺は「かりん」さんに受け止められた。

またもあがる嬌声の中「かりん」さんは俺を後ろから抱きしめながら、くんくんと首筋を匂って「女の匂いしかしないわよー」としなをつくり、あんたの匂いでしょと「すず」さんにつっこまれ、笑いの渦の中

「よりにもよってれんちゃんが男にはしるなんてありえナーイ♪」

さとう珠緒の物まねでぶりぶりした「ミサキ」ちゃんに「すず」さんが出したブーイングを合図に場はなんとなく流れていった。

ただそれからの話題の中心は俺にうつり、俺のチンコのサイズだとか一晩に最高何回射精したかだとか、本当にありとあらゆるセクハラを俺は受けた。



訴えてやる!(小声で。)





開放されたのは朝の7時。

地下鉄で帰るつもりだった俺は無理やりママのタクシーに同乗させられた。

家をきくと結構近い。

たばこいい?と運転手の了承を得てからママはタバコに火をつける。

「さっきの話さ」

「はい?」

「男の話。」

「あはは、それですか」

「隠すんならいいんやけどさ。そういうのってどっかでしんどくなるからさ。」

俺は黙った。

「オープンにしといたほうがアンタのためかもしんないな、って思っただけ。」

気の利いた話のそらし方が思い浮かばず俺は窓の外の景色に目を泳がせた。

神崎川。御堂筋線は込み始めている。

「なんか困ったら頼っておいでよね。なんか力になれると思うからさ。」

あのバカどもには確かにばらさないほうがイイかもねェ、とママは笑って男の力で俺の肩を抱き寄せた。

「オカマはなんでも知ってんのサ。」

そしてがはは、とだみ声で笑った。







一部の人にわかる俺の「フンイキ」の変化。

俺には何がどう違うのか分からない。

週明けからはじまる大学で、それに気づくやつはおるんやろか。





一抹の不安とともに、最後の夏休み、カウントダウン。
俺はとても感じやすい。
レンジです。

風邪ひきました。

でも今日もバイトです。

まだ微熱です。

休むに休めません。

股間のバカ息子もしょんぼりです。



ここ2-3日食欲のない俺にオカンがめずらしく

「ゼリー食べ。」

と、もってきたのは

マンナンライフのこんにゃく畑♪



母よ。これはゼリーではありません。

消化に悪い食べ物です。











俺には幽霊が見えない。

でもすごくイヤな場所が時々あって、口では表現しにくいんやけど

「あぁぁあなんか違う」ってな。

ヒトでもたまにおる。

とおりすがりに鳥肌たつヒト。

小学生の時からそうやったから、みんなそうやと思ってた。

高2の時、2軒隣に住む幼馴染、カツミが「狐憑き」やゆぅて(アナログ。)お祓いのおばさんまでやって来て、近所が大騒ぎになった。

大暴れするカツミを押さえる係をいいつけられた俺に、お祓いのおばさんは

「・・・・この子がかわいそうやないの。他のヒトにやってもらお」

「ええ?ラグビーやってるしこの子やったら大丈夫です。力ありますよ」

いいはるオカンを無視して俺に

「無駄に感じる子ォはあてられやすいねん。守れんで、うち。」

俺はどうしたらいいんでしょう。

オカンはやれというし、おばさんはなんか怖いことゆぅし。

するとお祓いの助手らしきお兄さんが、こちらへ、と俺を連行した。

その無口な山伏は俺を彼らの乗ってきたワゴン車に連れ込み

俺の首にでかい数珠をかけ、

きつい匂いのする粉をこれでもかと俺にふりかけ、

1時間ずっとお経を唱えていた。



怖すぎねぇ?



ようやく口を開いた彼は俺が「霊感もち」であることを告げた。

でもたいして珍しくはなく、100人にひとりはそうらしい。

そして山伏は

イヤだと感じる場所、鳥肌がたったり寒気・眩暈・眠気がくる場所には近づかないこと、(それほど強い霊感ではないので相手に働きかけが出来ないからだとさ。)

どうしてもそこにいかなければならない時は「息を吐く」ことに意識をもっていくこと、

それと、ある梵字を書いた紙を渡されて、この梵字の形を覚えて、いつでココロに思い浮かべることができるようにしておくこと、

などなどを語り、俺をワゴン車から解放した。

「修行したら見えるようになりますけど・・・イヤでしょう?」

帰宅する俺に山伏がニヤリと笑った。

その日一番こわかったのはその笑顔だった。



そういえばその山伏は岸谷五郎に似ていた。





おかげさまで俺は相変わらず役たたずな霊感とやらには振り回されることなく絶好調な人生を邁進中だ。

授業中誰かにピアスをひっぱられたり

鳥肌のたつ空気に伴走されたり

部屋の電化製品が奥から順番におちたり

そんなことはたまにあるにしても。





昔から熱を出すといやな夢をみる。

必ず黒い人影が部屋を抜けていく。

何度も、何度も。

やがて俺の足元でうずくまる。

俺の左足首を押さえる。

押さえながら俺をのぞきこむようにする黒い影。



もしかしたら、夢じゃないんかな・・・・?





近いうちにまたお会いするかもしれない、黒い影。